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反発~地政学リスクは限定的?

今日の東京株式市場は反発しました。


日経平均 9,347.00(+121.19)円
TOPIX 883.00(+7.12)
225先物(09/06) 9,340(+110)円


USD/JPY(15:30) 95.07円(みずほCBリファレンス)



・ようやく体調が戻りぼちぼち再開していきます。


・NY市場。米財政赤字に対する懸念から米国資産の持ち高を減らす動きとなりました。PIMCOのビル・グロス氏が米国はいずれはトリプルA格を失うとの見方を示し、政府の借り入れコストが上昇しインフレが加速、金融危機の収束が一層難しくしかねないとしました。これを受けて引け際に指数はマイナス転換しましたが、シアーズの決算が好調だったり、マクドナルドの欧州部門の利益率改善を好感した買いが下値を支えました。DJIAは14ドル安の8,277.32ドル、NASDAQは3.24安の1,692.01となりました。債券市場は軟調、今週に短期債(T-Bill)を合わせて1620億ドルの米国債の入札を控え、警戒感から売られました。10年債利回りは3.44%(前日は3.37%)。外為市場は与謝野財務相が現時点で為替介入することは考えていないと発言、円が93円台に買われる場面もありました。米国資産の魅力減退からドルが広範に売られ、ユーロが1.4ドル台に乗せました。


・東京株式市場・前場。寄り付き前の外資系証券の売買注文動向は、10社ベースで売り1110万株、買い1970万株、差引860万株の買い越し、金額9社ベースでも買い越しとの観測となりました。寄り付きは先週末よりも小幅高でスタートした後、投信設定の買いや先物市場へのショートカバーの動きからまとまった買いが入り、9,300円台に乗せ、9時25分には9,380円まで買われていきました。その後は9,360円近辺で小動きとなりましたが、引き続き騰勢は衰えず、10時38分には9,410円まで買い進まれ、200日移動平均の9409.10円に接近しましたが、そのレベルでは戻り売りも出され、上海・香港市場が軟調に推移していたことから売り物に押されての前引けとなりました。


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・後場。昼休み中に北朝鮮が核実験を行ったとの報道からアジア市場が下げ幅拡大となっていく流れでSGXで一時9,185円まで売られていく動きもありました。ただ、売り一巡後は買い戻しも入り、後場寄りは9,290円で寄り付いた後、戻し歩調の推移となっていきました。13時46分には一時9,370円まで買い進まれる場面もありましたが、14時過ぎに今度は北朝鮮が短距離ミサイル発射実験を行ったとの報道からややまとまった売りが出され、9,310円までありましたが、ドル円相場にショートカバーの動きが入り、95円台を回復した流れから9,340円を挟んでの推移となり、しっかりの展開のまま引けました。ファーストリテイリングが上げ幅を拡大したことから225型が強く、逆に自動車株などがややさえない動きからTOPIXが終日アンダーパフォームする展開となっていました。



・今日のところの上昇は先物市場へのショートカバーの動きだったり、先週末に設定された投信設定で今日も買いが継続して入ったという観測があったりして北朝鮮の地政学リスクを消化してといった展開でした。韓国総合指数はミサイル発射直後に窓を空けて急落しましたが、その分はややリカバリーしている動きですかね。


韓国総合指数(KOSPY)の5分足


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・やはり、今週はGMの問題が表向きの焦点なのでしょう。6月1日に再建計画提出の最終期限で、その時点でクライスラーと同じようにChapter11の申請というシナリオが強いのでしょうけど、この場合、クライスラーよりも規模がはるかに大きいですので破綻させた場合の影響がどの程度あるのか、そのあたりをマーケットはまだ織り込み切れていないようにも感じます。この点は今週の表向きのマーケットの揺さ振り材料として意識されます。


・そして、本当の揺さ振り材料というのは、やはり米国のトリプル安リスクというところなんでしょうね。今日の日経にもありましたが、日米欧で長期金利が上昇している、すなわち債券が先進諸国で売られていて、それに伴う金利上昇が景気全般の回復の足かせになるのでは?ということなのです。まつよしさんもおっしゃっていますが、特に米国債の売られ方(ベア・スティープ化)が気になります。


米国債のイールドカーブ


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米国債が売られている要因として2つの要因があります。


①グローバル景気ボトムアウトの観測からリスクアセットへマネーをシフトさせている(良い金利上昇)
②財政悪化懸念(悪い金利上昇)


こういったものがあります。債券が売られ始めたきっかけは経済指標の好転で、その結果「質への逃避」から債券市場に流れていたマネーが例えば株式や新興国通貨、コモディティなどリスクアセットへシフトさせているという動きがあったことは確かです。米国の10年債で2.11%から3%近いところまで上昇していった背景というのはそういったところもあって、米ドルや円を売ってオーストラリアドルを買おうなんていう動きが盛んだったのです。このときは「良い金利上昇」であり、ドル安円安他通貨高という構図で、ある意味で「良いドル安」だったといえます。


・しかし、財政政策を加速していく段階では当然財政悪化へとつながり、米国債の大量入札が繰り返されると供給懸念から債券はさらに売られやすくなります。そのような動きが加速すれば米国からマネーが逃げやすくなり、結果的にドル安につながって輸入物価が上昇してインフレへの懸念を高めてしまいます。あるいは市場金利が跳ね上がってクラウディング・アウト、すなわち企業金融では調達金利が上昇し、あるいは家計部門では住宅ローン金利が上昇し、借入コストが増大してしまうことで設備投資や消費を下押ししマクロ経済の悪化懸念から金融問題が再燃しかねないわけです。これが先ほどのビル・グロス氏の発言につながります。S&Pが英国の格付け見通しを引き下げたことから、同じような財政政策をとっている米国でも格下げ懸念が生じ米国債が大きく売られ、ドルが独歩安になったという現象をみれば、それは「悪い金利上昇」であり「悪いドル安」になります。


・そういった市場環境で焦点となるのは1010億ドルと過去最大機規模の大量入札が今週控えていることです。つまり債券市場では相当程度供給不安が強まるのです。入札が無難に通過すれば過度な供給懸念は和らぐのでしょうけど、不調に終われば売り浴びせの動きとなり、金利上昇に拍車をかけ、それが住宅ローン金利に跳ね返るようであればそれは金融問題の長期化につながる可能性がありますし、米銀は大量の債券を在庫として保有していますから、債券が売られれば金融機関の評価損の問題にもなっていきます(債券の価格は今回のFASBの時価会計緩和の適用にはなりません)。企業金融の部門であれば社債借り入れコストが大きくなってしまう懸念が高まります。そうなってしまうと株式にもマイナスですし、ドルにもマイナスです。従ってトリプル安を引き起こしかねないわけですから、米国債の大量入札の結果に相当神経質になる、そういう週となります。


・まぁ、日本では長期金利が上昇しても金利水準がもともととても低いですからクラウディング・アウトにはなりませんし、円が買われれば輸入物価も上昇しませんからインフレにもなりません。結局はデフレの日本という構図は変わらないのでしょうけど。

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by kabu-gion | 2009-05-25 17:31 | マーケット雑感


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