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上伸~10,100円乗せ

今日の東京株式市場は上昇しました。


日経平均 10,124.32(+142.98)円
TOPIX 950.54(+9.89)
225先物(09/09) 10,140(+120)円


6月限SQ 10,147.65円(確報)


USD/JPY(15:30) 98.02円(みずほCBリファレンス)



・今日でオプション取引開始20周年だそうですが、その日が節目のSQで、節目の10,000円を終値で抜けてきました。従いまして本日の場況はSQ中心に進めていきます。


・NY市場。朝方発表された経済指標は5月小売売上が前月比+0.5%(Est.+0.5%)、新規失業保険申請件数が60.1万件(前週は62.5万件、Est.61.5万件)となりました。小売売上に寄与したのがガソリンであり、決して強気な数字ではなかったものの、失業保険申請件数が減少傾向にあることから買い先行で始まりました。IEA(世界エネルギー機関)が原油の需要予測を引き上げて、原油先物相場が73ドル台まで上昇、シェブロンなどが買い進まれました。また30年債入札が順調だったことで長期金利が低下、モルガン・スタンレーがバンカメの利益見通しを引き上げたことから金融株が買い進まれました。半面で小売売上の中身が弱いものとなり、ウォルマートが下落、個別でボーイングが売られ、終盤失速しました。DJIAは31.90ドル高の8,770.92ドル、NASDAQは9.29高の1,882.97となりました。債券市場は堅調。序盤は10年債利回りが4%台で推移していました。30年債入札(リオープン)が行われ、応札倍率が2.68倍(過去10回平均は2.21倍)、外国中銀含む間接入札の落札全体に占める割合は49%(3月は32%)、最高落札利回りは4.72%(市場予想4.80%)だったことから順調な入札と受け止められ、買い戻しに長期金利は低下しました。10年債利回りは3.86%(前日は3.94%)。外為市場では米国の経済指標が好調だったことからリスク選好の動きとなり、コモディティ高からオーストラリアドルやNZドルなどが買われました。



・東京株式市場・前場。寄り付き前の外資系証券の売買注文動向は、10社ベースで売り1690万株、買い3000万株、差引1310万株の買い越し観測、金額9社ベースも買い越しとの観測となりました。本日は先物・オプションSQ算出日であり、寄り付きにそれに係る売買が執行されました。市場観測では、


【225型1銘柄あたり】

売り:246.9万株
買い:285.4万株
差引:39万株の買い越し(976億円の買い越し)


【TOPIX】

売り:388本
買い:476本
差引:12本の売り越し(56億円の売り越し)


【売買高・代金】

225型 5.78億株・7140億円
TOPIX型 2.33億株・1778億円
合計 8.11億株・8918億円


上記のような売買が行われ、以下のようなSQとなりました。


SQ一覧(いずれも確報値)


・日経225 10,147.65円(確定時刻は9時25分、ヤフーが寄りついた時点)
・日経300 191.59
・TOPIX 949.76
・東証電機株指数先物 1,256.46
・東証銀行株指数先物 183.35
・TOPIX Core30 550.73
・東証REIT指数先物 899.50


先物の寄り付きが10,030円で始まり、上記のようなSQとなったことから裁定売買やヘッジ買いなどが入り、先物で10,100円まであったものの、次第に「幻」のSQ感が漂う中利益確定売りなども出され、10,000円台後半のところでもみ合いの展開となっていきました。金融、医薬品や小売などが物色され、出遅れ銘柄の水準訂正が行われる展開となり、地合としてはしっかりとなっていました。


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・後場。5月の中国鉱工業生産が前月比+8.9%、5月小売売上が+15.2%となったことから上海・香港市場は買いで反応、225先物もSGXで10,125円まで買われていましたが、その後は上げ幅縮小、議場寄りは前引けよりも小幅高いところでスタートし、その後は売りを吸収しながら買いが入っていく展開となりました。騰勢は衰えるどころかますます強まる展開で、13時9分にはTOPIXがSQを抜きました。225も10,140円まで買い進まれ、SQを巡る攻防となっていきました。13時30分発表の4月の鉱工業生産確報値が速報値より上方修正され+5.9%となったことや、14時発表の5月消費者態度指数も前月から3.3ポイント上昇の35.7となったこともフォローとなりました。そして14時8分に225現物もSQを抜きました。その後先物で10,180円までありましたが、14時40分過ぎにポジション調整の売りが出され、結局225は終値でSQを抜けきれませんでしたが、終値で10,000円の大台を8カ月ぶりに回復しました。TOPIXは終値でSQを抜きました。


・今日のSQ雑感に関しては寄る直前に売りをぶつけてくる証券会社の発注が遅れたのかどうなのかは良く分かりませんが、市場の事前予想で15万株程度の買い越しでしたので39万株の買い越しは明らかに多く、それがSQ上振れの要因となったことは間違いありません。CME225先物はドル建で10,000円、円建で10,005円ですから、それから先物が強含んでも10,147円のレベルは遥かに高い所で決まって、また「幻」にならなければ、との危惧もありましたが、後場TOPIX中心に買いが入ったのでそれで後場にこの値を抜いて「幻」にはしなかったのですから、相場の地合としては強いの一言ですね。


・まぁ、引けで225が10,000円の大台を回復しましたので、次はTOPIXの4桁が当面の目標となるのでしょう。それに必要なのは


時価総額No.1のトヨタ自動車が新値を抜いていくこと
②トヨタが買われないとするならば銀行株主導になるシナリオとならざるを得ず、その際金融主導の相場展開が必要


こういったところです。今日の相場をみている限りにおいてはトヨタの上値が重い分、銀行株に頑張ってもらう格好になるのでしょうね。


・今日はSQ中心のお話でした。それでは今週もお疲れさまでした。良い週末をお過ごしください。

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# by kabu-gion | 2009-06-12 16:52 | マーケット雑感

SQ=10,147.65円

6月限SQは

10,147.65円(推計)

となりました。


なお、上記のSQはあくまでも推計値です。正式なSQは引け後に大阪証券取引所から公表されます。

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# by kabu-gion | 2009-06-12 09:27 | SQ

まちまち~大台に敬意

今日の東京株式市場はまちまちとなりました。


日経平均 9,981.33(-10.16)円
TOPIX 840.65(+3.65)
225先物(09/06) 10,020(+30)円
225先物(09/09) 10,020(+20)円


USD/JPY(15:30) 97.92円(みずほCBリファレンス)



・祝・10,000円回復ですね。しかし、先物が高値引けで現物はマイナス、節を意識しすぎたちょっと不思議な相場でした。


・NY市場。朝方は買い先行で始まりましたが、10年債入札が不調で10年債利回りが瞬間4%台を付けたことから金利敏感な金融株などに売りが出されました。さらに原油相場が71ドル台を付けたことからDJIAは一時120ドル下げる展開となりました。ベージュブックでは、4月から5月にかけて主要5地区連銀管轄地域で経済活動が鈍化したか、一部企業の見通しは改善したものの、金融状況や弱い雇用情勢は続いたと示されたことから、マーケットは金融当局がさほど景気に対して強気にみていないことと受け取り債券が買われ長期金利の上昇に一旦歯止めが掛ったことから買い戻しが入り、下げ幅を縮小して引けました。DJIAは24.04ドル安の8,739.02ドル、NASDAQは7.05安の1,853.08となりました。債券市場は軟調となりました。10年債入札が行われ、応札倍率が2.62倍(過去10回平均は2.40倍)、外国中銀含む間接入札の落札全体に占める割合は34.2%(過去10回平均は25.8%)だったものの、最高落札利回りが3.99%だったことでテールが流れたことから入札は不調と受け止められ、売りが加速する展開も、ベージュブックでそれ程強い経済認識とならなかったことから買い戻しが入り、10年債利回りは2.94%(前日は2.86%)。外為市場では金利上昇からドル買いの流れとなり、リスク許容度の高まりからクロス円が買われました。


・東京株式市場・前場。寄り付き前の外資系証券の売買注文動向は、10社ベースでは売り1890万株、買い3040万株、差引1150万株の買い越し、金額ベースでも買い虎視との観測となりました。8時50分に1-3月GDP改定値の発表があり、市場予想-15.0%を上回る-14.2%となりました。寄り付きは先物で9,990円でスタート、現物もあともう一歩で10,000円のところで寄り付きました。その後は10,000円の攻防となり、先物では9,990円カイ10,000円ヤリの動きとなりました。そして9時32分に現物も8カ月ぶりに10,000円に乗せました。その後先物で10,020円まで買い進まれましたが、明日のSQ算出に伴い神経質な取引展開となり、買いは続きませんでした。その後は上海・香港市場の寄り付きがマイナススタートだったことを受け、一旦目標達成感から利益確定売りが出されて反落で前引けとなりました。


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・後場。1-5月中国都市部固定資産投資は前年比+32.9%と市場予想を上回る(とはいっても一部香港の新聞にリークされていましたが)ものとなり、香港市場が切り返したことから後場寄りは下げ渋って寄り付き、その後は先物市場で10,000円の攻防となっていきました。13時3分に現物は再度10,000円を超えていく展開となりました。その後は10,000円を巡る攻防が先物期近、期先で行われ、ロールオーバーが終了し大口ロットが飛び交う展開ではなかったものの、やはりオプションの権利行使価格を巡る攻防であり、常にこの価格が意識される展開となりました。現物も10,000円を挟んだ小動きに終始しました。結局引けではインデックス売買で売り長となったことで、引け値での10,000円回復はなりませんでしたが、先物は高値引けとなり、2009年6月限は10,000円を超えて最終売買日の商いを終えました。



・今日のところは東証にもカメラが入っていたようで、市場関係者ならずとも固唾をのんで1万円の瞬間を見守る形になりました。そして9時32分に現物は10,002.10円を付けて8カ月ぶりの1万円回復となりました。


9時32分の各種指数


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ただ、その後はいつものSQ前の感じでしたね。先物の日中値幅は上下60円、まさに10,000円がATMとして終始意識されていたのでしょう。1つ上の権利行使価格まで持っていったり、あるいは一つ下の権利行使価格までふるい落とせるだけの決め手がなかったですからね。こんな感じで居心地の良い価格で固まった取引になったのでしょう。


・10,000円乗せに関しては昨日の記事で述べましたので今日は控えますが、市場関係者の意見は面白いですね。ロイターが調査した上値予想は強気派でJPモルガン証券の北野一氏が12,500円、弱気派では三井住友銀行の宇野大介氏の10,500円です。北野氏はGDPと時価総額の対比で過去の平均が75%であるのに対して今はまだ60%であるから水準的には低いという指摘。宇野氏は今の過剰流動性が先行き吸収されるとみているようです。なるほどいろいろ考え方や見方があるようですね。



・投資主体別売買動向。


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先週はちょっとバラバラですね。買いは外国人と個人信用と自己、売りは金融法人と個人現物でした。1万円が意識され始めたのが先週でしたからアロケーション上ウエイトを落とさざるを得ない金融法人が売ったり、個人の現物に関しても利食い売りや戻り売りを出していた半面で外国人と自己と信用が買いを入れていました。外国人は現物以上に先物を多く買っており、225で1057億円の買い越しとなっていましたから、結局のところは外国人の先物買い・自己の裁定買いで相場を押し上げていったことが分かります。個人の信用は小型株やグリーンエネルギー関連の一角に入っていることを鑑みると値動きの良い銘柄で回転を効かせようとする動きとなっているようにも思われます。需給的には「順のパターン」の構図ですね。すなわち外国人買い+自己の裁定買い+個人の回転売買、この構図が続く限りにおいてはそれなりに相場もしっかりするのでしょう。しかし、「逆のパターン」で買いを入れた信託銀行の売りには警戒したいです。上値を重くさせているのはいつもこの主体であることも確かです。2007年の2月、7月、2008年の6月にはそれなりに売ってきた主体ですからね。

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# by kabu-gion | 2009-06-11 17:32 | マーケット雑感

急反発~大台に肉薄

今日の東京株式市場は反発しました。


日経平均 9,991.49(+204.67)円
TOPIX 937.01(+18.77)
225先物(09/06) 9,990(+210)円
225先物(09/09) 10,000(+220)円


USD/JPY(15:30) 97.54円(みずほCBリファレンス)



・10,000円目前の高値引けですね。先物で10,000円の攻防は終始見ごたえがありました。


・NY市場。テキサス・インスツルメンツ(TI)の2009年4-6月売上高が23-25億ドル、利益がEPSで14-22セントに上方修正、市場予想を上回る内容となったことからハイテク株中心に買い優勢の展開となりました。米財務省が金融機関10社に対して680億ドルの公的資金(TARP)返済を承認したことも材料としてあったものの、アメックスは堅調ながらJPモルガンやモルガン・スタンレーはさえない展開でまちまちとなりました。DJIAは1.44ドル安の8,763.07ドル、NASDAQは17.73高の1,860.11となりました。債券市場はまちまち、中短期債は買われました。3年債の入札が行われ、応札倍率が2.82倍(前回は2.66倍)、外国中銀含む間接入札の落札全体に占める割合は43.8%(過去7回平均は37.2%)と順調となり中・短期債は買われる展開となり2年債の利回りは1.30%(前日は1.42%)となり、10年債は3.86%(前日は3.89%)となりました。一方で長期債は10年・30年債の入札に伴うヘッジニーズから売りが出され30年債は4.65%(前日は4.64%)となりました。外為市場では利上げ観測が後退してドル売りの動きとなり、政局混乱が沈静化しつつあるとしてポンドが買い進まれました。


・東京株式市場・前場。寄り付き前の外資系証券の売買注文動向は10社ベースで売り1300万株、買い1790万株、差引490万株の買い越し、金額9社ベースでも買い越しとの観測となりました。8時50分に発表された4月機械受注は、電力・船舶除く民需で前月比、


-5.4%


となり、市場予想の+0.4%を下回りました。内閣府では「減少のテンポが緩やかになってきている」との基調判断を維持しました。これを受けてもSGXではあまり反応はありませんでした。寄り付きは買い気配で始まり、9,850円で寄り付きました。米最高裁がクライスラーのフィアットへの資産売却を承認したことも好材料視されました。その後は9,830円-9,850円の狭いレンジで推移したものの、先物市場で大口の買いが観測され、上げ幅を広げていく展開となり、9時52分には8,890円まで買い進まれました。その後は高値圏でのもみ合いとなりましたが、強基調は継続し10時55分には9,900円をタッチしました。しかし、1000枚単位の売り板が圧迫となり、そのまま高値もみ合いの中で前場の取引を終えました。


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・後場。昼休み中に中国指標が発表され、5月CPIが前月比-1.4%、PPIが-7.2%と予想を下回るものとなったものの、複数のメディアが5月の鉱工業生産について+8.9%となって市場予想を上回るとの報道がなされ、上海・香港市場が堅調な推移となり、後場寄りは9,900円で始まった後、ロールオーバーに伴う買いロットが飛び交う中、短期筋がそれに追随する動きをみせ、12時56分には9,960円まで買い進まれました。その後は9,950円近辺でもみ合い、10,000円に接近する価格では売り板がびっしり並べられており上も重かったのですが、14時過ぎから急動意、14時12分にはついに8カ月ぶりに先物で10,000円の大台にタッチしましたが、防戦売りも激しく出され、その後は引けにTOPIX型でインデックス売りが出されるのではないかとの観測から伸び悩む場面があったものの、引け間際には再度強含んでいく展開、結局大引けではインデックス買いが優勢となったことで現物は高値引けとなり、10,000円にあと8.51円のところまで接近しました。債券市場は反落、株高が警戒され、明日の5年債入札へのヘッジニーズから売り優勢、JGBFは20銭安の135.65円となりました。外為市場では株価が堅調に推移していたことからクロス円が終始堅調な展開、ドル円も次第高となっていきました。



・今日は後場の14時以降に固唾をのんで先物の板に食いついていた方も多かったのではないかと思われます。


先物10,000円乗せの瞬間


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14時13分の先物の板


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まぁ、ある米系の証券会社が1万円を超えてSQを迎えたいなんていう話も錯綜しているような思惑を呼びやすい所にロールオーバーも最終盤に来て、ショートロールに伴うヘッジ玉が6月限にも500枚やら800枚やら平気で買い入れますので、それに短期筋が追随して10,000円を目指してしまったという感じなんでしょう。メジャーSQという四半期に一度の風物詩というやつですかね。さらにコールの10,000円の建玉の多さ(2万7300枚程度)も注目されていったのでしょうね。日経新聞でオプションの総建玉数、過去最高に、なんて書かれたりしていましたから、余計に思惑を呼びやすく、買い有利とみた向きも多かったのでしょうね。この点は心理戦です。



・(ここからは先物10,000円回復についての話で、現物はまだ示現していませんし、今後相場ですからどうなるかわかりません)10月8日に10,000円の大台割れてから先物市場でもこのレベルを一度も抜けていません。そして今日それにタッチして5桁を回復した場面があったのですから、それなりに意味があることだと思います。10,000円割れの時、何があったかといえば、リーマン・ショックの後の金融の大混乱でした。リーマンがChapter11を申請したのは9月15日でしたから、少しタイムラグがあります。10,000円割れについて決定的だったのは今のTARP、すなわち金融安定化法案が米国下院で否決され、DJIAが777ドル安を演じてしまったことが表向きなんでしょうけど、実際は預金者が銀行に並んで預金を引き出そうとするといったシーンは限定的だったのですが、MMFが元本割れを起こしたことから解約が殺到するといった形で金融市場の中で取り付け騒ぎが起きていたことが要因でしょう。それから短期金融市場が大混乱に陥り、銀行間取引では貸し手不在のクレジットクランチに陥り、LIBOR金利などが高騰した半面で、ポジションのオールキャッシュ化がパニックのように起きて米国のTB3カ月物の金利がマイナスになったりしてTEDスプレッドが異常に跳ね上がる事態、すなわち、流動性危機に陥ったのです。その結果がデレバレッジとして様々なマーケットをどん底に突き落としていきました。


TEDスプレッドの推移(出所:Bloomberg)


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その後矢継ぎ早に金融当局が流動性対策を講じ、異例の金融緩和措置に動いた結果、TEDスプレッドはだいぶ沈静化してサブプライム前の水準まで落ち着いてきています。企業金融もかなり大きなダメージとなりましたが、こちらも当局の対応でなんとかなっています。そのような感じで金融市場はサブプライム→リーマン・ショックを克服しつつあるのです。


・当然、信用市場や金融市場が落ち着けばこれだけ流動性対策を行っていることもあり、リスクアペタイトが高まっていきます。これによって株式市場も回復に転じていきました。とはいえ、金融機関の不良資産の問題も解決しない状況にありますし、昨日書いた中東欧の問題は今後新たな金融危機の火種になる懸念だってあります。さらに、確かにこのところの経済環境のモメンタムはいろいろなところで改善していますが、金融が大混乱した余波で実体経済は相当痛んでおり、今後は失業率などは高止まりしたままでの「ジョブレス・リカバリー」に推移していくことが見込まれますから、マクロの回復にも脆さも露呈してくるのでしょう。そういうことを考えると、個人的にはなかなかここから「次はいくら?」なんていう感じには捉えられないような感じなのです。


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# by kabu-gion | 2009-06-10 17:32 | マーケット雑感

反落~欧州リスクに攻防9750

今日の東京株式市場は反落しました。


日経平均 9,786.82(-78.81)円
TOPIX 918.24(-8.65)
225先物(09/06) 9,780(-70)円


USD/JPY(15:30) 98.08円(みずほCBリファレンス)



・ちょいリスク回避モードでしたね。しかし、往年の仕手系材料株が一斉高、マッチの連日のS高ってどうなの!?という感じで眺めておりました。


・NY市場。この日は経済指標の発表もなく、利益確定売り先行で始まりました。米上院の複数の共和党議員はオバマ大統領ににヘルスケア改革の一環とした政府が運営する医療保険改革に反対を表明したことからヘルスケア関連に売りが出されていきました。またマクドナルドの5月の既存店売上が市場予想に届かず下落しました。また利上げ観測も全般相場の重しとなり、FF金利策物市場では今年9月のFOMCで金利が引き上げられる確率は35%(前週は15%)となっていることも懸念材料となりました。DJIAは100ドル以上の下げとなっていましたが、引け前にクルーグマン教授が「振り返ってみて米リセッションの終了時が今年9月だったとしても驚きはない」と述べたことから金融株中心に急反発に転じDJIAはプラスに浮上しました。DJIAは1.36ドル安の8,764.43ドル、NASDAQは7.02安の1,842.40となりました。債券市場は過去最大級の入札を控えてヘッジ売りが出され、さらに中・短期債が売られる展開となりました。10年債利回りは3.89%(前日は3.83%)。外為市場ではS&Pがアイルランドのソブリン格付けを引き下げたことからユーロ売りとなったものの、テクニカル的な下げ過ぎの反動からポンドが買われました。


・東京株式市場・前場。外資系証券の売買注文動向は、10社ベースで売り1920万株、買い1610万株、差引310万株の売り越し、金額9社ベースでは小幅買い越しとの観測となりました。寄り付きは小幅安で始まりました。その後は売りが入って9,780円まであったものの、その後は金融株中心に切り返し、9時42分にはTOPIXがプラスに転じる場面がありました。しかし、戻り売り圧力は大きく9,850円を挟んだところでの一進一退の動きとなりました。下値では買い物が入るものの、上値では売り板が厚くなかなかプラスに切り返して上値を追う感じでもありませんでした。


反落~欧州リスクに攻防9750_a0120390_1818142.gif



・後場。アジア市場が下落基調となっていたことや、WSJ電子版で米国がG8財務相会合で欧州に厳格なストレステストを要請すると伝えられたことでユーロが下落、リスク回避の動きとなったことから後場寄りはギャップを空けて9,790円でスタートしました。その後は一時9,750円まで売られたものの、この価格には先物に1000枚単位の買いが並べられ、その後は100円程度の下落幅で安値圏でのもみ合いの展開となっていきました。結局9,760-9,790円のコアレンジのままでもみ合いながら推移したものの、現物は引けにインデックス買いが入り、下げ幅をやや縮小して引けました。債券市場は堅調。30年債入札は応札倍率が3.87倍(前回は3.82倍)、テールは12銭(前回は8銭)となり概ね順調な入札となったことや限月交代に伴うショートロールから期近に買い戻しが入り、また株安などを背景に上げ幅を広げ、JGBFは18銭高の136.62円となりました。外為市場では先ほどのWSJの記事をきっかけにクロス円が売られ、ドル円もそれに引きずられて軟調な展開、98円割れのところまで売られていきました。



・今日のところは一服でした。しかしながら9,750円の権利行使価格を割り込みたくない向きが買い支えたのでしょうか。9,750円に1000枚の板を並べてあからさまな感じでした。SQ前のいつもの攻防といった感じなのでしょう。



・今日は終日「欧州リスク」が意識されました。材料的には

①アイルランドのソブリン格付けをダブルAに引き下げ
②ラトビアの格付け見通し(アウトルック)をネガティブに引き下げ
③G8財務相会合で米国が欧州にストレステストを求めるという報道

こんなニュースフローが流れていました。この3つの話はリンクします。まず、アイルランドの格下げに関しては銀行システムを支えるための財政コストがこれまでの予想以上に大きくなるとの理由からでした。銀行システム維持が国の財政リスクを増大させているということですが、これはアイルランド特有の問題ではないようで、例えば中東欧のエクスポージャーが大きいオーストリアやグローバル金融バブル崩壊の痛みが大きい銀行を抱える英国などが次の格下げ懸念があるとロイターでは伝えています(焦点:アイルランド格下げに英国、オーストリアが続く可能性)。


・中東欧といえばラトビアの問題も含みます。通貨切り下げ観測が起きて以来オーバーナイト金利が30%に急騰しているようですから、金融市場は危機的な状況といえます。確かにCDSにしてもカウンターパーティー・リスク指数が低下して銀行が突然破綻するリスクというのはなくなったのでしょうけど、依然として東欧のCDSスプレッドはワイド化したままなんですよね(DB Researchのサイトを参照してください)。このような中東欧のエクスポージャーを抱える銀行を金融システム維持のために巨額の公的資金で支えるという構図ですから、ソブリン格下げの懸念は高まるといった感じなのでしょう。


・そこへきてWSJで米国が欧州銀にストレステストを要求(まぁ、その米国も議会監督委員会から失業率の想定値を上回った場合、再テストが必要との報道もなされましたが)するとのことですから、ちょっと困った話として意識させられますね。欧州圏の銀行を対象としたストレステストの場合には中東欧のエクスポージャーまで審査する必要があるのでしょう。米銀の場合は米国内の住宅ローン債権、クレジットローン債権、商業用不動産ローン債権などを査定すれば良かったのでしょうけど、欧州の場合は本国に加え、中東欧の国の経済状況の深刻シナリオを考えなければならないわけです。より「厳格に」査定するならば新興国がデフォルトした場合の損失額はいくらになるか?とかそういう計算までいかなければならないのでしょう。その結果もしかしたらIMFの新興国支援のための必要な額まで査定されてしまうのかもしれませんね。米国に隠されてあまり伝わっていませんが、欧州の金融システムの問題はカントリーリスクも内包する深刻な話ですから、非常に神経質になっていくものと思われます。


・欧州議会選挙はフランスこそ与党盤石だったものの、他の国は与党総崩れで、英国では労働党が本当に苦境で、政権がごたごたしていて、秋の選挙では保守党キャメロン政権が発足するのではないかとの見方が強いようです。そういう話を勘案してユーロやポンドを買い進めることができるだろうか?という感じなのですよね。



ポンドドルの日足チャート


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# by kabu-gion | 2009-06-09 18:22 | マーケット雑感