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続落~TOPIXはザラ場安値更新

今日の東京株式市場は続落しました。


日経平均 7,268.56(-107.60)円
TOPIX 730.28(-5.00)
225先物 7,290(-90)円


USD/JPY(15:30) 95.32円(みずほCBリファレンス)



・NYがまさかの大幅安で帰ってきて、という割には底堅さもありました。


・NY市場。朝方、財務省・FDIC・FRBなど規制当局5局が「金融システムを断固として支える」との緊急声明を出したことや、ストレステストを実施する意向であることが伝えられ、寄り付きは金融株に買い戻しが入り高く始まりました。しかし、ドイツ銀行がGEの目標株価を引き下げたり、あるいはモルガン・スタンレーがハイテク株について、景気敏感セクターの中で最も脆弱としたことからハイテク関連に売りが出され、HPが-6.27%、インテルが-5.48%。さらに地合を悪くさせたのがCNBCのAIGに関する報道。内容は、AIGについて、追加支援をめぐる政府交渉に失敗すれば破綻に追い込まれる可能性がある、というものでした。商業用不動産の評価損などを計上する見込みで、Q4は600億ドルの損失になるとのことから売りが加速、DJIAは250ドル安、S&P500とともに1997年以来の安値更新となりました。債券市場は今週に合計940億ドルの入札を控えていることもあり、小幅高に留まりました。10年債利回りは2.75%(前日は2.79%)。金相場は利益確定の売りに押され軟調、995ドルで引けました。



・東京市場、前場。寄り付き前の外資系証券の売買注文動向は、11社ベースで売り2000万株、買い1290万株、差し引き710万株の売り越し、金額9社ベースでは売り買い均衡との観測となりました。寄り付きはCME225先物に鞘寄せする形で売り気配で始まり、7,190円で寄り付きました。その後は一旦売り方の買い戻しに下げ渋る場面もありましたが、買い一巡後は下値テストの展開、TOPIXは717.85まであり、昨年10月末のバブル後最安値を更新する場面もありました。しかし、年金買い観測からその後は下げ渋る展開、7,200円を挟んでの取引となりました。ドル円はストップロスを巻き込み94円台中盤での取引となりました。


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・後場。アジア株安を背景にSGXが日中安値圏に推移、後場寄りも7,100円台中盤からの取引開始となりました。その後、クロス円主導でドル円も上値追いの展開となると、輸出関連に見直し買いが入り、7,200円台のところでの推移となっていきました。13時台以降はこの7,200円のところで小動きとなっていきましたが、GLOBEXもプラス圏での推移となったことから輸出株の一角が切り返し、徐々に下げ渋って後場の高値圏での引けとなりました。債券市場は小動き、朝方は20年債入札を控えてJGBFにヘッジが入るものの、入札結果が良好だったとの観測から買い戻しにプラス圏に推移も引けにかけて株式が持ち直すと下げに転じて引け、結果的にトリプル安となりました。



・今日のところは為替が円安に振れたことが好材料とよく耳にしますが、個人的にはGLOBEXがしっかりという側面でサポートされたのではないか?と考えています。円安は確かにサポートとはなりましたが、これまでの「株安/円安」の流れの背景を考えてみないと、マネーフローがわからなくなるような感じがします。直近の円安ピッチは凄く速く、東京タイムでも輸出の売りを完全に吸収してドルが買われています。ということは、それだけのまとまったロットのドル買い需要があったのでしょう。


ドル円の日足チャート


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・ドル買い需要がありながら株式が安く、(邦銀勢の益出しも要因なんでしょうが)債券の上値が重いことを考えると、「円資産売り」という構図があるのではないか?とみることもできます。その原因は投機筋による、「日本ショート/他国買い」というものではありません。それならばユーロもしっかりでしょうし、他国の株式も日経に比べてアウトパフォームして然るべきでしょう。しかしDJIAもSP500もFTSEも底割れに推移してしまっているのが現状で、日本ショートなどと片付けるのは無理があります。


・そう考えると、足元でドルだけが強いことから米国の投資家の海外リスク資産の圧縮が相当程度行われているのではないか?と考えます。円安は政治リスクと日本最悪シナリオがカタルシスとなったのですが、マネーフロー上、実際には米国投資家もしくは金融機関のリスクリダクションが行われていた、と考えるのが自然ではないかと思われます。もし、一連のリスクリダクションが金融機関のバランスシート圧縮の動きによるものだったとしたら、国有化懸念があるだけに気持ち悪い部分があります。


・あとはいきなり蒸し返されたAIGの問題。この背景には商業用不動産の問題があります。今晩、S&Pケース・シラー住宅価格指数が発表され、市場で大いに注目されているのですが、一方で商業用不動産の値崩れも結構深刻で、これがAIGの首を絞めている感じなのです。


S&P/GRA商業用不動産価格指数(出所:S&P)


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住宅用不動産とか、住宅価格とかの値下がりに対しては潜在的な損失規模が大きいことや、国民にも説明しやすいことから政府も何とか価格安定に躍起になっているのですが、商業用不動産の値崩れに対しては、FRBがTALFの枠でCMBSを適格担保としているものの、それ以外に目立った対応があまり打たれていないのが実際です。住宅よりは潜在損失額が小さいとはいえ、商業用不動産ローンにはCMBSという形で証券化商品としてばら撒かれていたり、金融機関も大量に在庫を抱えているのが実情で、今後、CMBSのデフォルトが多発すればサブプライム同様の構図になっていく懸念があります。従って、AIGの問題をきっかけにして、米政府や金融当局の対応が求められるところではないか、と思われます。


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by kabu-gion | 2009-02-24 16:46 | マーケット雑感


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